| 平和酒造 和歌山県海南市 |
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和歌山県の海南インターを降りて、山側へ20分ほど走ったところに本当に小さな酒蔵さんがあります。地元の人でさえ、知らない人がいるほど小さな酒蔵さんなんですが、まるで美術館のような佇まいをしています。
初めてお会いする社長さんは、まるで学者さんのような雰囲気なんですが、話しをされる言葉にはとても熱いものを感じました。梅酒に関しては、もう10年以上前から取り組んでおられるそうなんですが、その取り組み方は半端じゃありません。
今から10年以上前、梅本来のもつ「ピーチのような香り」をもつ梅酒の商品化に成功し、自信をもって東京の酒屋さんに持っていったところ、あまりにフルーティーな香りと味わいに「梅酒じゃない」と言われたそうです。
梅本来のもつ自然の香りが否定され、付けたような梅風味がもてはやされるコトに、やり切れない悔しさを覚え、それならば時間をかけて熟成させよう、地元和歌山の梅がもつ」天然の風味は長期の貯蔵でもっと旨みを増してくれるはずだと考え、リスクを承知で熟成させました。
この蔵の造る梅酒は、青梅ではなく「完熟梅」だけを使用します。それは社長の梅酒に対する美学に由来するものです。梅はその性質上、痛みが早いため完熟状態では流通させることが出来ません。台湾バナナがまだ青い状態で出荷し、日本のスーパーに並ぶころに黄色く染まるのと同じ原理です。
逆をいうと、本場なら完熟梅を使用することが出来ます。
青梅には流通上のメリットの裏側に「その固さゆえ、エキスが抽出しにくい」というデメリットがあげられます。エキスが出にくいということは、長時間梅の実を漬けた状態にしておかなければなりません。そうすると、種の中にある「仁」に含まれる苦味成分が出てしまいます。
大手梅酒メーカーでは、その苦味を隠すために砂糖でごまかし、またその甘みを薄めるために大量の水で割るという手法をとります。しかしながら、一度出てしまった苦味成分は隠すことが出来ないと、山本社長は言います。
その他にも、梅酒を漬ける際に浮かんでくる梅の実が空気に触れ、酸化するのを防ぐため、7〜8回に分けて仕込む「多授仕込掛」という、とても手間のかかる方法で仕込んでいきます。まるで日本酒の3段仕込みのような梅酒の製造方法です。
平和酒造の梅酒は、梅の本場「紀州」のブランドを守るために、徹底的に手間と時間をかけて造られています。
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